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やさしい病気の話

今回は「ビフィズス菌」と題して荒井 咲子先生が話題を提供します。

ここ2場所ほど、足のけがで不振の大関・琴欧州はブルガリアの出身。

ブルガリアといえばヨーグルト。ビフィズス菌はこのヨーグルトにたくさん含まれている乳酸菌の一種である。乳酸菌を含め、人間の腸の中には「腸内細菌」と称する色々な菌が生息しており、その数は約100兆個、数百種に分類され、「腸内細菌叢」を形成している。便の約70~80%は水分だが、乾燥した便の成分は食物のカスや消化管由来の死滅した細胞の他、その1/3から1/4を占めるのが「腸内細菌」だといわれている。

この腸内細菌叢には体にたいして良い働きをする菌(善玉菌)と、悪い働きをする菌(悪玉菌)がいて、そのバランスがとれているかどうかで健康が大きく左右される。

善玉菌の代表であるビフィズス菌などは悪玉菌の増殖を抑え、消化・吸収を助け、体の抵抗力を高める。一方、悪玉菌であるウェルシュ菌や黄色ブドウ球菌などは腸内腐敗を起こしたり、毒素を作ったりして、生活習慣病などを引き起こす原因になるとも言われている。また、ビフィズス菌は、腸内で自ら増えたり減ったりを繰り返しており、そのことで悪玉菌による様々な悪さを抑えているー腸内環境を整えると言うが、腸内の環境が整っていれば当然、解毒作用の機能をもつ肝臓の負担を軽くし、アルコール好きの人にも良い訳で、最近では免疫能力を高めるので花粉症にも効果があるとか、ガン抑制作用も言われはじめているという。さらにビタミンB群やビタミンK、それに葉酸をつくるのを助けるので、肌荒れや貧血にも良いといわれる(内科医・執筆家おおたわ史絵先生談―週刊朝日19/Ⅴより)。

ビフィズス菌はもともと、人間の腸内に存在する菌であるが、老化とともに減ってくるし、「ストレス」「偏った食事」「抗生剤投与」などで腸内細菌叢のバランスは簡単に崩れてしまう。善玉菌優勢のためにはバランスを崩す原因を排除することが必須であるが、ひとつの早道として、ビフィズス菌を含む乳酸菌飲料やヨーグルトを十分に摂取することがあげられる。生きたまま腸内にとどいた乳酸菌は、腸内細菌叢のバランスを改善し、健康な体作りに貢献するという。

ビフィズス菌は生きている菌なので、できれば餌となるものも一緒にとることを、おおたわ先生は薦められる。「乳糖、つまり牛乳や、ゴボウ、タマネギ、ニンニクなどフルクトオリゴ糖を含んだものと一緒にね」「ヨーグルトとニンニク?あら、ブルガリアの代表料理に、ちゃんとありますよ。おいしいんだから」と先生は言われる。

また、ブルガリアが出てきたが、私は大相撲にあまり興味はない。でも我が家には大相撲からプロ野球(とくに巨人軍)まで、スポーツ全般にわたる熱狂的ファンが一人いるので、大相撲も千秋楽に近くなると、私もブルガリア出身の琴欧州の成績が気になる一人ではある。

(荒井 咲子 06.06.13)