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やさしい病気の話

今回は「肺の生活習慣病COPD」と題して後藤 眞暎先生が話題を提供します。

日本では40歳以上の約10人に1人がCOPDと推定されています。約20年前は世界で第6位の死亡原因であったのが12年後には第3位になるであろうと予測されています。わが国では2015年には65歳以上の割合が25%に上昇するといわれ、それだけCOPDが増えることになります。皆様にはこの病気について、より関心持っていただきたくとりあげました。
この病気は鼻や口から吸込まれたタバコの煙や微小な粒子によって慢性的な炎症が気管支や肺胞におこり肺胞が破壊されます。肺はスカスカになるような変化が生じ、このような状態になると肺の機能も低下します。その結果、咳、痰、息切れ等の自覚症状を自覚するようになり、破壊されてしまった肺胞は元に戻ることはありません。したがって予防が非常に大事なわけです。
診断するには諸々検査がありますが、胸部X線だけでは早期発見は難しく、呼吸機能検査が必要で重要です。40歳を過ぎたら。この検査をお受けになることを勧めます。最近では肺年齢も判りますので実年齢との差を自覚でき早期治療がしやすくなります。
治療は何がなんでも禁煙です。次に薬物治療(気管支拡張薬など)、包括的呼吸リハビリテーション(栄養療法、理学療法、運動療法など)、日常生活の注意(ワクチン接種など呼吸器感染症予防など)等です。ひどくなると在宅酸素療法、外科的治療、肺移植等があります。
最近では良薬の開発もあり、早期だとある程度改善させることも可能となってきております。。まずは喫煙習慣を止しましょう。そして息切れのしない健やかな老後をお迎えてください。

Chronic Obstructive Pulmonary Disease:慢性閉塞性肺疾患
COPDはまた「タバコ病」とも呼ばれています。高齢の喫煙者に多い疾患で、喫煙者の約15%は喫煙に感受性を持っており、気流閉塞の指標である1秒量(1秒間に吐き出せる息の量)の低下が通常の老化による低下に比べて速いスピードで進行します。
「慢性気管支炎、肺気腫または両者の併発に気流閉塞が伴った状態」と日本呼吸器学会では定義しています。

(後藤 眞暎 10.6.27)