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やさしい病気の話

今回は「流行性角結膜炎」と題して高橋 久志先生が話題を提供します。

流行性角結膜炎は、アデノウィルスによるウィルス性結膜炎の一つです。7日前後の潜伏期をもって発病し、異物感、充血、眼脂や流涙などの症状が出ます。まぶたをひっくりかえしてみると濾胞と呼ばれる小水疱が多数見られるのが一つの特徴です。

発病後徐々に症状は強くなり、5~8日頃にもっとも強くなります。また、耳前リンパ節が腫れることも多く、重症化すると角膜に点状の混濁を残したり、眼瞼結膜(まぶたの裏)に偽膜を作ったり、軽度の後遺症を残すことも珍しくありません。特に幼児に発症した場合、重症化する傾向にあり気をつける必要があります。

また、反対側の目にも数日遅れて同じ病気が出てきますが、通常こちらは最初の目よりも軽傷で終わるのが普通です。

アデノウィルスの特効薬はまだありません。症状をできるだけ軽く済ませ、早く治るようにする対症療法しかありません。また、このウィルスは感染力が強く簡単に消毒できません。人の手や道具を介して簡単に感染してしまいます。気をつけていないと、簡単に病院内感染や、職場、学校内感染が起きてしまいます。「流行性」と名前が付く所以です。迅速で確実な治療が必要となります。幸い、涙から診断できる迅速診断キットがあり、かなりの確率で迅速診断が可能になっています。

予防方法に決定的なものはありませんが、ウィルスに触っても流水下でしっかり手洗いすることによって、余計な感染を防ぐことができます。万が一発病してしまったら、早期に専門医を受診。その後は長くて1~2週間の自宅療養が必要となります。登校や勤務は、できるだけ控えてください。発症後10日頃には血清中の中和抗体が上昇し感染性がなくなるといわれています。

一部地域で、感染者が増加しているようです。お気をつけください。

(高橋 久志  10.07.02.)