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やさしい病気の話

今回は「捻挫・打撲の応急処置について」と題して工藤 宏次先生が話題を提供します。

子供からお年寄りまで、誰しもがけがをする可能性があります。早期に適切な対処をすれば、治るまでの時間を短くすることができます。また、逆に間違った対処をしてしまうと悪化させてしまうこともあります。けがをした際には、次に挙げる4つの対処方法を行うことが大事です。これらは頭文字を取ってRICE(ライス)と呼ばれています。

1. 安静(REST)

腕のけがであれば、重いものを持たないこと。足のけがであれば、歩くのを控え、痛みが治まったら徐々に動かすようにしましょう。患部をもむと、かえって晴れが強くなるので、注意してください。安静は、一度止まった血がまた出るのを防ぐ効果があります。

2. 冷却(ICING)

氷枕や保冷剤など氷に準じたものを、タオルやシャツの上から患部にあてます。冷やす時間は10~20分とし、最初の5時間は1時間おきに行うのがよいでしょう。湿布や市販の熱吸収シートは冷却効果が弱いので、アイシングには向いていません。また、コールドスプレーの使用や長時間のアイシングは凍傷になってしまう恐れがあるため、注意をしましょう。アイシングには血管を収縮させ、内出血を抑える効果があります。

3. 圧迫(COMPRESSION)

患部を包帯やテーピングなどで軽く圧迫し、固定します。圧迫が強すぎると、しびれたり皮膚が紫色になるので注意してください。圧迫することにより、内出血を止める効果があります。

4. 挙上(ELEVATION)

腕のけがであればひじを曲げ、三角巾でつるします。足のけがは、仰向けになりふくらはぎの下に枕や折りたたんだバスタオルなどを当て、5~10センチ高くします。挙上することで、心臓に血が戻りやすくなるために、内出血を抑える効果があります。

けがをすると毛細血管に傷がつき、内出血によって患部が腫れます。腫れが強いと治りが遅くなるので、上記の4つの対処が早期回復につながります。腫れが強くなければ、入浴は可能です。しかし熱いお湯では出血につながってしまうため、ぬるま湯を使い、短時間で済ませるようにしてください。

その他の対処方法として、痛みを抑える目的で湿布や塗り薬の使用が挙げられます。これらはキズのある部位に直接あてると刺激が強く、逆に痛みが増してしまいます。キズを避けて周囲に使いようにしましょう。

患部が変形したり、みるみる腫れてくるような場合は緊急を要するため、RICE療法を行うよりも先に、まずは医療機関を受診してください。

(工藤 宏次  10.08.09.)