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やさしい病気の話

今回は「〜最も知られた皮膚病〜水虫についてのお話」と題して赤尾 明俊先生が話題を提供します。

梅雨時が近づくとテレビのコマーシャルに水虫薬が登場してきます。
水虫ほどよく知られた皮膚病はないと思われます。川柳にも読まれます。

 悩みます 恋に仕事に 水虫に
 隠しても 俺は分かるぞ その仕草
(2005年水虫川柳大賞より)

日本人の10人に1人は悩んでいると言われている水虫は「虫」による皮膚病ではなく、白はく癬せん菌き んと呼ばれる「カビ」が原因です。また、水虫はよく「かゆい」「すぐうつる」「治らない」と思われてもいます。これも誤解されている点です。

「かゆい」

水虫(足白癬)には3つのタイプがあります。

  1. 趾し間かん型…足の指の間が、白くふやけたり皮がむけたりする
  2. 水すい疱ほう型…足の裏に小さな水ぶくれができる
  3. 角化型…足の裏がかさかさして厚くなる

3. はほとんどかゆみがありません。このため症状が進み、爪にも感染し、爪が変色したり、ぼろぼろしたり、厚くなったりします。爪白癬の状態です。

すぐうつる

一般には湿度100%で、皮膚に付着した白癬菌が角層(皮膚の1番外側の部分)に侵入するには24時間以上必要と言われています。ただし、角層に傷がついていると12時間ぐらいでも侵入されてしまうようです。軽石などでゴシゴシこすると、角層に細かな傷がつき水虫にうつりやすくなります。水虫が皮膚に侵入し感染するには、それなりの時間が必要なのです。その間に足を洗いよくふき乾かせば、感染は防げます。しかし、次々と足に付着する環境であれば、やや状況が違うかもしれません。日本では素足で歩く家庭内での感染が大部分であると言われています。欧米では家庭内でも靴を履くことから家庭内感染は少ないとのことです。一方、靴を履く時間が長いため、いったん足に付着すると感染しやすいと言われています。

治らない

現在使われている水虫外用薬は白癬菌をやっつける力、皮膚に浸透する力などが良くなり、効き目は十分だと思います。それではなぜ治らないと思われがちなのでしょうか。

それは再発が多いからかもしれません。かゆいなどの症状が無くなると、外用をやめてしまうことがあります。この時点では角層内にはまだ白癬菌は存在し、やがて再増殖してきます。症状がなくなってからも更に1〜2カ月ぐらいは治療を続ける必要があります。また、爪水虫があれば、それを治さない限り、水虫の根治は困難かと思います。

家庭内で水虫の方がいれば、いつかまたうつる可能性は大です。お風呂の足ふきマットなどをとおしての感染はよく言われています。足ふきマットの洗濯や日光干しなども対策の一つです。長時間履く靴や、湿気がたまりやすいブーツも時には陽に当てて乾燥させることも予防の一つです。水虫と似たような症状でも水虫でない疾患があります。掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょうと読みます、皮がむけたり膿性のプツプツができます)、汗疱(汗による水ぶくれや皮むけ)などいくつかあります。これらの疾患に水虫の薬を塗ってかえって悪化することもあります。水虫と思っていらっしゃる方のなかには、このような疾患の方も居られるかもしれません。

要は、診断をはっきりつけ、自分にあった(かぶれない)外用剤を根気よく塗り、再発の予防に気配りすることと思います。もっとも何事も「言うは易く行うは難し」です。そこで、自作の川柳を一つ

お互いの 素足見つめず 皮膚科医は

(赤尾 明俊  11.4.2.)