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やさしい病気の話

今回は「将来豊かな子どもたち」と題して小山田 雍先生が話題を提供します。

秋田県は、65歳以上の高齢者が3割を超え、そのうち75歳以上が半数を占める一方で、年間の出生数が7千人を割り、人口減とともにわが国の(世界の)最前列に位置する少子高齢県となっています。

しかし、本県の子どもに目を向ければ、将来性の豊かな面をいくつも見い出すことができます。本県の児童生徒の体格は全国最上位であり、文部科学省が行ってきた「全国学力テスト」(小学6年生・中学3年生の国語、算数、数学、理科)では、実施以来、最上位を続けています。これと同時に調査されている生活習慣に関しても、基本的な生活が身に付いており、学校と家庭との共同の成果ということができます。

また運動面で、以前は走力、持久力の面で課題がありましたが、今は文部科学省の「新体力テスト」でトップクラスの水準になっています。乳幼児期から児童生徒の時期に行われるワクチンの接種率も常に全国上位にあり、保護者の方々の理解が深まっていると推察します。

他方、全国最上位の体格に併せて、肥満の多さがあり、特に小学校5年生、高校生に著しいとされています。これまでは食習慣の改善が指導されてきましたが、近年は運動習慣の指導にも力点が置かれています。授業の合間の休み時間に体を動かすことや、徒歩による登下校が推奨されますが、学校の統合などでスクールバスの利用が増え、徒歩が少ない現実もあります。

以前、歩数計による児童・生徒の運動量を調査したことがありますが、小学生よりも中学生の方が1日の歩数が少ないことがわかりました。また、「1日9千歩未満」の小学生では、あまり体を動かさず、帰宅後に2時間以上テレビを見る児童が多いという結果でした。子どもの運動に関しては、幼少時からの外遊びと、「上手、下手」や「速い、遅い」ではなく、家族と共に体を動かす楽しさの経験が大切だと思います。

現代の生活は電子媒体や情報機器なしでは成り立たなくなっていますが、スポーツで汗を流し、仲間と辛さや楽しさを分かち合い、音楽を聴くことや絵を描くことにより創造力を培う、このようなことは、自分を生かすことや、他者への思いやりなど、人間らしさを養う大事なことだと思います。将来性豊かな多くの若人が根付いて、大仙市の未来を担っていくことを強く期待します。

(小山田 雍 14.07.22.)