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やさしい病気の話

今回は「子宮筋腫について~治療法は個人の状況によって異なります~」と題して山本 博毅先生が話題を提供します。

子宮筋腫は、女性の皆さま方は一度は耳にしたことがある病名だと思います。子宮にできる良性の腫瘍で、20歳代以降の方は3〜4人に1人は子宮筋腫があると言われています。なぜできるのかは分かっていません。

月経量が多い、月経の期間が長い、月経以外の出血がある、慢性的な貧血がある、おなかに硬いしこりを触れるなどの症状がでます。他に腹痛、腰痛、頻尿、便秘、月経痛などのつらい症状、まれに大量出血がみられることがあります。症状がないことが多く、人の頭程の大きさになって初めて受診される方もいます。子宮筋腫と診断されても、実際に治療を要す方はそのうちの数人に1人程度です。多くの方は定期的に通院して経過をみることになります。閉経すると縮小し、症状もおさまって病気としての意味がなくなるのが普通です。

治療は、お薬と手術の2つに大別されます。お薬は、痛み、貧血等の症状の軽減を目的とする対症療法と、閉経状態にして筋腫を縮小させるホルモン療法があります。手術療法は、子宮を摘出する手術と筋腫のみを摘出する手術があります。出産を望まれる方は筋腫のみを、そうでない方は子宮摘出となることが多いです。筋腫のみを摘出した場合、再発して元の状態となることも多いのです。他に血管をふさいで筋腫を縮小させる子宮動脈塞栓術や超音波で筋腫を焼く治療などがありますが、現在保険がきかず、誰にでも受けれる治療法ではありません。治療は筋腫による症状、大きさ、位置、個数、個人の状況により異なりますので、その方に適した治療法が個々に決定されます。大きくても症状が乏しい場合は治療はしませんし、小さくても具合の悪い場合には治療を要します。

注意を要するのは、子宮筋腫と診断されていて実は子宮肉腫というがんであったというケースが千件に一件ほどあるということです。子宮肉腫の診断は難しく、手術をしてみて初めて確定することが多いのです。閉経後に大きくなる、急に大きくなる、痛い、場合により出血がある等がこの病気のサインとなります。

気になる症状があっても、なかなか婦人科を受診していただけないのが現状です。長年の悩みが解決するきっかけになることも多いので、気になることがありましたら婦人科を受診してみてください。

(山本 博毅 14.08.12.)