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やさしい病気の話

今回は「~大きな"いびき"には注意が必要です~ 睡眠時無呼吸症候群について」と題して髙階髙先生が話題を提供します。

あなたの睡眠は健康ですか。21世紀の国民病といわれる「睡眠時無呼吸症候群」をご存じでしょうか。

私たちは1日の終わりに十分な睡眠が取られれば、日中は疲れもなく快適に過ごせます。お酒を飲んだときなど寝入りばなの一時的ないびきは心配ありませんが、中には大変危険ないびきもあります。睡眠時無呼吸症候群という病気は中年以降の男性に特に多く、睡眠中静かな状態から急に大きないびきをかき、何度も呼吸が止まります。呼吸再開時にはまた大きないびきを繰り返し、1回に10秒以上、1時間に20回以上もの無呼吸状態を認めます。しかし、本人に全く自覚症状はなく、運転中の居眠りで交通事故を起こしたり、倦怠(けんたい)感のために仕事に身が入らずトラブルを起こしたりなど周囲にも大きな損害を与えることがあります。まだ治療を受けていない人が多い現状ですが、放置した場合は生活習慣病の悪化はもちろん、時には突然死や心筋梗塞、高血圧症の悪化、脳卒中など、さまざまな病気の発症の危険性が高まります。家族の睡眠を妨げるようなうるさいいびきをかく人の7割は睡眠時無呼吸症候群といわれますので、異常ないびきに気付いたら本人に受診を促すのが治療の糸口となります。専門医療機関では、まず本人のアンケート調査や家族の詳細な情報を受けて、この病気が疑われる場合は、自宅に持ち帰られる簡易診断装置で睡眠時の呼吸状態をチェックします。これを解析し精密検査が必要な場合は、一泊入院を勧め総合的な検査をしますが、検査は睡眠中に終了するため苦痛はありません。

検査結果は無呼吸の頻度によって軽症、中等症、重症と診断され、軽症の人は生活習慣や肥満の改善、子どものアデノイド(咽頭扁桃)や口蓋扁桃肥大が高度の場合は外科的手術で、成人では歯科器具で下あごを前方に突き出させて気道を広げ、いびきや無呼吸をなくす治療もあります。中等症や重症では自宅で簡単に行える対応療法として「CPAP(シーパップ)療法」(経鼻的持続陽圧呼吸療法)が一般的で、これは睡眠時に鼻にマスクを当て、装置を使って陽圧の空気を送り、気道がふさがらないようにして無呼吸を防ぐ療法です。医師は患者の方の呼吸に合わせて必要な気道圧を処方します。睡眠の異常は人生を大きく左右しますので、いびきが気になる方は早めに主治医にご相談をお勧めします。
* CPAPの器具はレンタルが可能で、保険が適用されます。

(髙階 髙 14.12.05.)