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やさしい病気の話

今回は「経鼻鏡カメラについて」と題して佐々木志郎先生が話題を提供します。

経鼻鏡カメラは正式には経鼻内視鏡(上部消化管)と言われています。このカメラが作られた目的は、受診された方が胃カメラ挿入時に感じる苦痛の軽減です。そのため、胃カメラのおよそ4分の1の太さで作られています。ただ、細いだけですので苦痛が4分の1になるわけではありません。せいぜい2分の1くらいかもしれません。

経鼻鏡カメラが優れているのは反射の強い舌根部を通らない仕組みになっているため、「オエ!オエ!」としないですむというところでしょうか。あとは術者の腕ということになるのでしょう。また、これに加えて挿入している時間が長くても苦痛があまりないような感じがします。

当然のことながら弱点もあります。鼻に麻酔をしますので鼻に手術経験があるとこのカメラを使うことができませんし、鼻炎を患っている方もダメです。また、キシロカイン(局所麻酔剤)のゼリーやスプレーを使用しますのでアレルギーの有無を確認しなければなりません。これが一番大事でしょう。

また、細いだけにしばしば故障します。故障しすぎと言ってもいいのではないかと思いましたが、使い慣れて少しは遠慮するようになった気がしています。看護師のブラッシングなども要注意です。ブラシがカサカサするともう危険です。検査後の鼻出血もありますが、耳鼻科の治療を受けたことはありません。

いろいろ思いつくままに書き並べてみましたが、始めて4年3カ月になります。胃カメラを使った検査をする方の7、8割は経鼻鏡カメラを選びます。終わったあと75パーセントの方は「楽だった」と言ってくれます。今後は85パーセントの方に「楽だった」と言ってもらえるように工夫していきたいとひそかに考えています。

(佐々木 志郎 15.05.28.)