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やさしい病気の話

今回は「仮想大腸内視鏡検査(CTコロノグラフィー)について」と題して大村範幸先生が話題を提供します。

想大腸内視鏡検査(CTコロノグラフィー)とは、おしりから大腸へ二酸化炭素ガスを注入したうえでCT撮影を行い、画像処理を行って実際の大腸内視鏡でのぞいているような画像を得る方法です(図)。従来、大腸を調べるために内視鏡検査やバリウム検査をおこなっていましたが、ひどい苦痛を経験された方は少なくないと思います。

CTコロノグラフィーは、平成24年1月に健康保険適用が認められました。当院では、平成25年度より導入しております。実際の検査方法は、CT検査台の上でおしりから二酸化炭素ガスを注入し、通常のCTと同じ撮影を行います。ガスを入れる時には、おなかが張った感じがしますが痛みはほとんどなく、腸の中に入ったガスは15分程度で体内に吸収されるので、違和感は速やかに消失します。撮影はあおむけとうつ伏せの2回行います。10分前後で撮影は終了し「通常の大腸内視鏡検査や大腸バリウム検査で経験するような苦痛はほとんどない」といってよいかと思います。また大腸バリウム検査より得られる情報も多く優れた検査といえます。
しかし、大腸の中を空にしなければならないので、大腸内視鏡をおこなうときと同じ下剤の服用(2リットルの液体の内服)が必要になります。つまり下剤服用の苦痛は変わりません。また、CTコロノグラフィーでがんやポリープが疑われた場合は、通常の大腸内視鏡検査をあらためておこなわなければいけません。さらに便の残りとポリープとの判別が困難であり、がんやポリープと思って通常の大腸内視鏡検査をすると実際は便であったということ(偽陽性)もありうるのが弱点です。次の方にCTコロノグラフィーをお勧めしています。

① 通常の大腸内視鏡で病変を認め、その病変の確認とさらなる情報収集が必要と判断された方
② 高齢、心臓や肺の病気があるため、通常の大腸カメラ検査が困難と判断される方(ただし、下剤による身体へのご負担はかかります)
③ 腸の癒着などによって、腸の曲がりが著しく、通常の大腸内視鏡挿入が困難かつリスクを伴うと判断された方

詳細は、当院消化器科・外科外来またはかかりつけ医にお問い合わせください。

(大村 範幸 15.06.15.)