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やさしい病気の話

今回は「『ぼけたくない』と思ったら」と題して小畑信彦先生が話題を提供します。

老化に関係する認知症を完全に予防する方法はありません。ただし、認知症にかかりやすくなる危ない条件はあります。それを避けるべきでしょう。

1. 生活習慣病にかからないようにする。かかっても悪くならないようにする

生活習慣病は通常、体全体の血管を駄目にします。脳の血管も駄目になります。そうすると、脳の細胞に血液が行きわたらなくなり、それが壊れてしまいます。薬をキチンとのみましょう。太りすぎに注意しましょう。体重は毎日測るのが基本です。運動をしましょう。少なくとも週に3日以上、仕事以外の運動をしましょう。体の一部の筋肉を使うだけでなく、全身を使うウオーキングなどがよいでしょう。なお、最近では、糖尿病が直接、アルツハイマー病にかかりやすくするという説も出ています。糖尿病にかかったら、治療はしっかり行うようにしましょう。

2. アルコールは一日、1合まで

アルコールの摂り過ぎは、肝臓だけでなく、脳も傷つけると言われます。一日1合、せいぜい2合までにしてください。なお、日本酒1合=ワイン1合=ウイスキーダブル(60ミリリットル)=焼酎(25度)3分の2合=ビール大瓶1本弱がだいたい同じアルコール量です。

3. 家に閉じこもらず、友達と楽しむ時間を作る

家に閉じこもると認知症になりやすくなるかどうかはハッキリとしたデータがありません。これは私個人の印象に過ぎません。しかし、どうも、使わなければ衰えるという体の原則は脳にも当てはまる印象があります。友達と付き合えば自然に体も頭も使います。友達との交流を大切にすることをお勧めします。

4. 積極的に検査を受ける

認知症になりたい人は一人もいません。しかし、いくら、なりたくなくてもなってしまうのが病気です。認知症になるかならないかは「病気の神様」(抽象的な意味です。私は特に信心はしていません)がお決めになることです。病前の性格も、素行も関係ありません。歴史的には、米国の大統領だったレーガン氏もかかっています。決して恥ずかしがる必要はありません。周囲に勧められたり、自分で危ないなと思ったら、積極的に診察を受け、必要な検査を受けましょう。
認知症に対抗する新薬がどんどん開発されています。利用しないのは損です。心配するだけでは無意味です。心配ごとが減らせるように行動を開始し、続けることが大切です。明日から、少しずつ生活を変えてみるのはいかがでしょうか。

(小畑 信彦 15.07.28.)