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やさしい病気の話

今回は「インフルエンザ 最近の話題」と題して池田芳信先生が話題を提供します。

平成21年4月中旬にメキシコで発生した新型インフルエンザはパンデミック(世界的大流行)となり、死亡者は全世界で1万8千人超に達しました。日本では医療環境が良く死亡率は諸外国より低値でしたが、それでも203人が亡くなっています。当時、秋田県では6月11日に仙北市で発生、メキシコから当地域までわずか2カ月で広がったわけで全世界的な交流の多さがうかがわれます。当地は新幹線経由では秋田県の窓口ですし、空港もあり中国との間の出入国者も多いという状況でインフルエンザ(以下インフル)情報には常に目を光らせておく必要があります。特にH5N1鳥インフル感染は罹患者(りかんしゃ)累計650人、死亡者386人(死亡率59%)とWHOで報告されていますし、平成25年3月31日には中国でH7N9鳥インフルの人感染が報告されました。一時、鎮静化も平成26年に入り急増、2月4日時点で罹患者累計285人、死亡79人(死亡28%)と報告されています。公式な人̶人感染は確認されていませんが気になるところです。

現在、日本では平成25年4月13日に「新型インフルエンザ等対策特別措置法」が施行され対策を急いでいます。パンデミック発生時には医療機関でも職員の40%が罹患すると想定されており、大曲仙北医師会ではそのような状況下でも診療が継続できるよう各医療機関で医療継続計画を作成し準備・対応しているところです。

最近、短期間で大量のワクチンを製造できる「細胞培養法」を用いたワクチン製造が承認され、半年で1億人分のワクチンを用意できる見通しになりました。また、フルミストという点鼻用生ワクチンが欧米で開発され2〜7歳の年代で効果が高いとされていますが50代以上は使用できないなど、種々の制約もあるようです。さらに、新たな抗インフル薬(アビガン錠®)が厚生労働省から製造承認を受ける見通しです。タミフル®などとは異なり細胞内ウイルス複製を阻害する作用機序(さようきじょ)の薬剤で、薬剤耐性ウイルス、鳥由来高病原性ウイルスなど、幅広いインフルエンザウイルスに対して効果を示すことが確認され、パンデミック対策の切り札として期待されています。

このように年々新たな薬剤やワクチンが開発され行政面での対応もありますが、基本はワクチン接種、環境対策(換気・保湿)、うがい、手洗い、マスク着用(咳エチケット)、十分な睡眠〜体力温存など地道な対策につきますのでご励行をお願いいたします。

(池田 芳信 15.10.07.)