• Home
  • やさしい病気の話

やさしい病気の話

今回は「〜胃の検査は定期的に受けましょう〜 不名誉な記録から脱却を!」と題して小西永晃先生が話題を提供します。

秋田県が誇る(?)2012年度ランキング。男性は堂々(?)の第1位、女性は第3位!これは何でしょう?このコーナーでの質問ということを考えていただけたら、お分かりの方も多いのではないかと思います。そうです、これは胃がんの死亡率です。秋田県は胃がんの死亡率に関して1960年代から常に上位を維持してきました。2012年の男子では最下位の沖縄県とは約3倍もの開きがあります。

胃がんの原因としては何が考えられるでしょうか?今一番重要視されているのはヘリコバクター・ピロリ菌です。胃の中に住んでいる細菌で胃がんの原因のみならず、胃潰瘍の原因としても有名です。また、高塩分食も胃がんの原因として考えられており、秋田県が上位を維持している一因と思われます。他には焦げや喫煙等も考えられており、このような原因を排除することが胃がんの死亡率を低下させるのに重要なのは言うまでもありません。

しかし何よりも重要なのは胃がんの早期発見・早期治療ではないでしょうか?最近は治療も大分進歩してきていて、早期がんだと内視鏡治療で根治できる可能性が高くなってきています。開腹して胃を摘出する必要が無くなるのです。

では早期発見のためには何が必要か?これもまた当たり前の答えですが、定期的に検査を受けることですね。検査といえばバリウム検査と内視鏡検査が思い浮かぶと思います。バリウム検査は主に検診で受けることが多いと思います。短時間で苦痛無く受けられますので検診の一環としてこれを活用し、健康管理に役立てて、そして普段酷使している胃に感謝の気持ちを持っていただくことは非常に有用なことだと思います。内視鏡検査、これはできれば受けたくない検査なのではないでしょうか?確かに苦しい検査というイメージが先行しやすいですが、最近では高性能な経鼻内視鏡も開発され、以前よりも苦痛がかなり軽減されています。そして何よりも早期がんの発見にかなりの威力を発揮してくれます。1センチ以下の早期がんをいかにして見つけるかということに腐心しているわけですから、胃粘膜の凹凸や色調の変化を直接観察できる内視鏡検査が現時点では他の検査に取って代われないのはお分かりかと思います。また内視鏡検査をうけて胃潰瘍や胃粘膜の慢性炎症(萎縮といいます)を認めた場合はピロリ菌の検査ができます。ピロリ菌がいる場合はできる限り早いうちに除菌した方が良いですから、そういう意味でも内視鏡検査をお勧めします。いずれにせよ、バリウムや内視鏡といった胃の検査を定期的に受けて、不名誉な記録から早く脱却しましょう!

(小西 永晃 16.04.04.)