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やさしい病気の話

今回は「〜男性50歳を過ぎたら検診を受けましょう〜 最近の前立腺がん治療の動向」と題して熊澤光明先生が話題を提供します。

近年、前立腺がんの発症率は年々増加傾向となっています。みなさん、前立腺がん検診は受けているでしょうか?男性50歳を過ぎたら、年1回の検診を受けてください。前立腺がん検診はPSAという腫瘍マーカーを測定するだけでOKです。これは採血するのみで結果がでます。

前立腺がんの治療はどうすればよいのでしょう?前立腺がんが限局している(進行していない)場合は手術や放射線療法が主体となります。手術は通常の開腹手術と最近登場したロボットを利用した手術があります。ロボットを用いた手術は遠隔操作で前立腺を摘出、通常の手術より手術創を小さくできます(秋田では秋田大学のみ)。放射線の場合は外照射(外から前立腺に照射)や内照射(放射線物質を前立腺に埋め込む)があります。その他にも病理結果(前立腺生検)で悪性度が低い場合は待機療法(何も治療せずに経過をみる)も選択肢の一つとなります。限局性前立腺がんの治療法は多岐に渡りますが、どの治療が良いのでしょうか?答えはどの治療法でも良いです。限局性の前立腺がんはどの治療を選択しても、その後前立腺がんが進行して命を脅かす可能性は非常にまれです。それぞれ治療できる施設、治療期間など異なりますが、主治医と相談のうえ一番適した治療法を選んでください。

前立腺が進行している場合の治療ですが、これは薬物療法が主体となります。薬物療法にはホルモン療法と抗がん剤療法があります。前立腺がんは男性ホルモンが関与しているがんであり、簡単に言うと男性ホルモンを抑制することで前立腺がんの進行を抑えることができます。このホルモン療法の薬剤は近年、多くの種類の薬が開発されつつあります。今年になってから新たに2種類の薬剤が発売されました。転移を起こした前立腺がんでも、これらの薬も使うことによって近年治療効果が向上しています。多くの薬が内服薬で、また抗がん剤治療も外来化学療法で行えるので入院せずに外来通院で治療を行うことも可能です。新たな薬の開発もされており、今後さらなる治療効果の改善が予想されます。

とはいえ、一番大事なのは進行する前に前立腺がんを診断することです。PSAが10以下(正常値4以下)で診断された場合、前立腺がんで亡くなる可能性は非常にまれです。男性50歳を過ぎたらPSA測定、前立腺がん検診を受けましょう

(熊澤 光明 16.05.31.)