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やさしい病気の話

今回は「慢性的な病気に効果があります̶ 「漢方」って何?」と題して伊藤博彰先生が話題を提供します。

漢方とは、中国伝統医学が日本で独自に発達した医学です。その昔は「うさんくさい、あやしい」などと言われた時代もありましたが、現在ではアメリカを中心として漢方薬の使用が拡大しており、世界から注目される医学となりつつあります。

皆さんは漢方薬に対してどんなイメージをおもちでしょうか。粉っぽい、苦い、飲みにくい…などでしょうか。確かに漢方薬は独特なのですが、身体に合った漢方薬を飲むとどんなに苦くても、続けてもっと飲みたくなるのです。体の不思議ともいえるでしょう。

しかし、「飲みづらい」「味が無理」「吐き気や下痢」このように患者さんが感じたら、その漢方薬は体に合っていないと判断されます。漢方薬は自然の成分が原料ですが、驚きの成分が入っているのも特徴といえます。例えば円形性脱毛症や高血圧、悪夢などに対する柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)という薬は、牡蠣(かき)の貝殻や動物の化石の骨などが入っています。これらの成分がカルシウムとなって心も身体も穏やかな状態になるのです。カルシウム補給にもなるのでとても便利です。

現代の治療は、あくまで西洋薬による治療がメーンであり急な激しい病気などにとても威力を発揮します。西洋薬はデータ、症状に対して処方します。

これに対し、漢方薬は体質、状態など体全体を診て処方するので慢性的でだらだら経過している状態(女性特有の問題や偏頭痛など)によく効くとされます。

漢方薬は人に対して処方するお薬なのです。それぞれ得意分野があるこの2つの治療法を組み合わせることで、西洋薬でカバーできない部分も補えるようになります。

漢方薬というと構えてしまう方もいらっしゃいますが、最近はメディアによる紹介も多くなり興味をもたれている方もいらっしゃるでしょう。あなたの体にもきっと合う漢方薬があるかもしれません。

(伊藤 博彰 16.08.02.)