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やさしい病気の話

今回は『同じ出物でもさまざまな種類があります−「じんましん」について』と題して石河 知之院長が話題を提供します。

「じんましん」とは?さて、どういう病気なのか、簡単に紹介したいと思います。

皮疹

一つ一つは皮膚の盛り上がったような出物( 膨ぼう疹しん)でかゆく、大きさはまちまちですが、24時間以内に消えるというのが特徴です。このようにおのおのは必ず消えますが、治るまではほぼ全身にその出没を繰り返すという病気です。

ちなみに膨疹の正体は血管から水分が漏れやすくなり(血管透過性の上昇)、皮膚に水分がたまった状態(浮腫)なのです。

種類

出物は同じでもさまざまな種類があります。それらのうち、食事性じんましんを主に述べたいと思います。このタイプでは出始めたのがいつかということが肝心です。通常、食事後数時間でじんましんになることが多いので、夜に出た場合は夕ご飯の何か、午後に出た場合はお昼ご飯の何か、などを疑います。

ただ、大事なことは、食べたご飯の何かが悪かったということではないということです。同じ食事を一緒に食べた人がみんな出るわけではなく、一人だけ出ることがほとんどなので、それは体質の違いなのか(たまたま自分に合わなかった?)とも思われます。

また、前にも食べたことのあるものばかりで以前は出なかったのに、なぜこのたびは出たのかということについては、体調不良との関連があげられます。通常、食べ物は胃で消化され、腸で吸収され血液に乗って全身に回るわけですが、体調がすぐれないとき(かぜや疲れなど)は胃なども弱っているため上手く消化されず(高分子量のまま)吸収されるため、じんましんの原因になりやすいとされています。

このような食事性じんましんですが、食べたものは血液に乗って全身に運ばれるため、その症状は皮膚だけではなく全身に及ぶことがあり、胃腸がやられると吐いたり、下痢をしたり、呼吸器に及ぶと咳き込んだり呼吸が苦しくなったりすることもあり、油断はできません。

また、特に誘引と思われることがなくじんましんを繰り返す場合があり、これを特発性じんましんといい、4週間以上続くと慢性じんましんとされます。このタイプは検査ではまず異常がなく、しかもアレルギーではないとされていますが、患者さんはたくさんいます。

検査

食事性じんましんでも原因を特定する検査はなく、アレルギー検査も役には立ちません。特発性じんましん(慢性じんましん)も特異的検査はありません。

治療

内服療法が主で、時に症状がひどい場合には入院の上、点滴療法なども必要です。困ったときは、ぜひ診察を受けましょう。

(石河 知之 18.08.01)