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やさしい病気の話

今回は『訪問診療と往診の話』と題して佐藤 浩平院長が話題を提供します。

健康寿命という言葉を最近よく耳にします。「高齢者の方も元気なうちは社会活動に参加したり、デイサービスやリハビリに通ったりして、自立した生活を少しでも長く維持しましょう」というものです。しかし、人間も生物である以上「老い」を避けて通ることはできません。いつかは足腰が弱って通院するのが難しくなったり、介護が必要になったりします。また、高齢者でなくとも病気のために同じような状態になってしまうこともあります。そのような状態になったら、10年前までは病院に入院するのが普通でした。そして、最期の大切な時間を病院のベッドの上で過ごしていました。もちろん最期の瞬間まで治療を頑張りたいという方も多いと思いますが、もしこれ以上良くならないのであれば住み慣れた場所でできるだけ長く過ごしたい、と思う方もいると思います。

そのような方のために「在宅医療」があります。在宅医療にはさまざまな形がありますが、代表的なものは看護師が自宅まで訪問してくれる訪問看護です。そして、医師が自宅や施設に定期的に訪問し医療行為を行う「訪問診療」と調子が悪い時に依頼して診てもらう「往診」があります。

訪問診療とは「定期的に外来通院する代わりに、医師が自宅に来て診察する」のようなイメージが分かりやすいと思います。また、往診とは「受診予定日じゃないけど調子が悪いので受診する代わりに、医師に診察に来てもらう」といったイメージです。ただ、自宅での診察では十分な検査機器がありませんので、初診で往診をする医師は少なく、通常は訪問診療と往診はセットで行われます。また、自宅ではできない検査や入院が必要になったときには近隣の医療機関と協力して行うのも在宅医療の特徴で、医療に割く時間を必要最小限にできます。家で過ごす時間を少しでも長く、そして快適にするためにケアマネージャーさんを始めとした介護職の方々とも連絡を取り合い、医療と介護が一体化したサービスを受けることができます。

「ひとりで通院するのがしんどくなってきた」「がん末期と言われたけど残りの時間を家で過ごしたい」このような場合は、一度、主治医の先生に相談してみてはいかがでしょうか。

(佐藤 浩平 19.09.02)