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やさしい病気の話

今回は『多職種の連携でよりよい生活を−リハビリテーション医療ってなんだろう』と題して細川 賀乃子院長が話題を提供します。

今回は、なかなか詳しく聞くことのない「リハビリテーション(以下リハ)医療」のお話をさせていただききます。

私の専門は「リハビリテーション」です。「ん?リハ科の医者って何をしているの?」と疑問が湧く方も多いのではないでしょうか。今回、改めて考えてみたところ、主に身体の動きや働き、話したり飲んだり食べたり、考えたり理解したりなどに出てきた困り事に、検査や投薬やリハを行いつつどう付き合い、どんな生活や生き方をしていきたいかという各人の希望とすりあわせるのが仕事だと思っています。

ですので、専門は何ですか?は難しい問いですが、「身体の動きや働き、話しり飲んだり食べたり、考えたり理解したりなどに困りごとが出てくる病気全て」が対象で、脳血管疾患や整形外科疾患、外傷、神経疾患、内臓その他の病気のため治療や手術、投薬後で以前よりも動けない、高齢で少しずつ体力が無くなってきた、認知の低下が気になりだした…など、多岐にわたります。年齢も困り事の重症度も問いません。それぞれの病状に応じた評価や検査を行い、必要であれば療法士による機能訓練や、ソーシャルワーカーも関与して活用できる社会制度の利用を検討します。社会制度には、医療保険制度、介護保険制度や、社会福祉制度など、多様なサポートの方法があります。それを組み合わせて社会生活を送る方法を考えます。

その一方で、リハ医療の限界を知り、その先を共に考えるのもリハ科医師の責務です。少しずつリハだけでは解決できないことを伝えながら、それでもなおより良い方法を患者さんやご家族と一緒に模索していくこともあります。ただ、リハの対象となる病気全てをリハ科で診断したり、専門的な治療をしたりすることはできません。患者さんに複数の専門治療が必要な合併症がある場合もあります。そのため、一般には受診の際に診療情報提供書や検査データなどの提供をお願いすることになります。周辺の医療機関と連携をして双方向で情報を共有し、患者さんの治療が優先する場合は他医療機関へ紹介し、良い状態で生活ができるようにしていきます。

もしも、こんなことを聞いても良いのかな、と悩む場合でも、皆さんの困り事には解決する術があることも多いです。まずはリハ科のある医療機関でご相談をしてみてください。

(細川 賀乃子 20.11.02)