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やさしい病気の話

今回は『健康に生活するために、検査を受けましょう−甲状腺(こうじょうせん)について』と題して佐藤章恵医師が話題を提供します。

甲状腺とは、体の成長や代謝をコントロールする甲状腺ホルモンを作っている臓器です。首の前面、甲状軟骨(のど仏)の下にあり、気管に巻きついた蝶のような形で、重さは大人で約15〜20グラムの小さな臓器です。甲状腺の病気は大きく分けると、ホルモン量の異常と腫瘍があります。ホルモン異常は、ホルモン量が多いものと少ないものがあります。

ホルモン量の多いものの代表がバセドウ病です。甲状腺の腫れ、眼球の突出、体重減少などが代表的な症状ですが、症状が強くなく、血液検査で初めて分かる方もいます。治療は内服薬が基本になりますが、治療を続けていても薬が減量できない場合や妊娠・出産を考えている場合は、手術治療や放射線治療も検討します。

ホルモン量の少ないものの代表が橋本病で、慢ホルモン量の少ないものの代表が橋本病で、慢性甲状腺炎ともいいます。甲状腺が腫れ、血液検査で甲状腺自己抗体が陽性になります。甲状腺自己抗体が陽性の人は人口の15%位いるとされていて、治療が必要な人はそのうちの一部に限られます。甲状腺ホルモンが少ないと、疲れやすくなったり、便秘やむくみがでたり、寒さに弱くなったりします。

治療は甲状腺ホルモン剤の内服になります。また、甲状腺ホルモンの低下は、流産や早産のリスクを増加させます。妊娠を考えている方は、一度甲状腺の検査を受けることをおすすめします。

甲状腺の腫瘍は、超音波検査により数ミリの小さいものも発見できるようになっています。経過観察で大丈夫な良性のものが多いのですが、大きいものや超音波検査で悪性を疑う場合は、腫瘍に細い針を刺して細胞を採取し、顕微鏡で良悪性を判定する検査が必要になります。悪性の場合は、手術治療となります。

甲状腺は小さな臓器ですが、健康に生活していくには無くてはならない大切なものです。首が腫れる、体調不良が続くときなど、一度甲状腺の検査を受けてみてください。

(佐藤 章恵 22.04.01)